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2019.06.13
知多半島案内 Vol.36『日間賀観光ホテルの庭 庭師 古川乾提さん』
知多半島案内 Vol.36『日間賀観光ホテルの庭 庭師 古川乾提さん』
みなさんこんにちは!知多半島の情報誌『EDIT知多半島』のライター田村です。今回も知多半島へお越しの際にぜひ知っていて欲しい情報をお伝えいたします。
日間賀観光ホテルは昨年の10月24日にリニューアルし、半年以上が経過しましたが、皆さんはもうご覧いただいたでしょうか。階段が利用できなかった方には特にうれしいエレベーターの設置や、日間賀島の魚介類をより新鮮に楽しめる生け簀など、より日間賀島での時間を楽しめるようになりました。その中でも今回は、一番先に皆様の目に飛び込んでくる「庭」についてお伝えしていこうと思います。
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リニューアルの際に新しくなった、開放感あふれる入口付近
ひのあたるにわ
私がリニューアル後に日間賀観光ホテルを訪ねて真っ先に驚いたのが、入り口付近の広いスペースです。リニューアル前は送迎車が狭い空間をかいくぐっていくという印象があった入り口付近が、今では開放感あふれるスペースとなりました。そんなスペースにふと目をやると、様々な花や、大きな木が立ちならび、さらに丸テーブルやイスが設置してあります。そこは庭になっており、「ひのあたるにわ」と名前がつけられています。
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売店の出入り口と直結しており、飲み物などを楽しみながら過ごせるスペース
海側から玄関へつなぐ庭
今回「ひのあたるにわ」を制作したのが庭師の古川乾提さん。実は日間賀観光ホテルの海側にある別の空間「そらへのにわ」という小さなスペースをすでに制作しており、今回が2カ所目の庭になるとのこと。すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、1カ所目の「そら」と今回の「ひかり」の庭はそれぞれがリンクしてた庭となっています。残念ながら「そらへのにわ」は個人的な場所となっており出入りはできませんが、ホテルのテラスや和縁を利用されたことがある方ならご存知かと思いますが、海側に集まる陽の光や風はとても気持ち良いですよね。そんな海側にある「そらへのにわ」に入ってくる光や風を、入り口にある「ひかりのにわ」へとつなぐイメージで製作したのだそう。
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海側の心地よい光や潮風は、日間賀観光ホテルならではの楽しみの一つ
そもそも「庭」とは?
皆さんは「庭」といわれて何を想像しますか。ただ眺める場所なのか、趣味のスペースなのか、あるいは手入れがめんどくさい場所なのか、いろいろとあると思います。「庭って、人が住んでいる安全な建物と、いろいろな危険も潜む自然の間にあるものなんです」と、庭に向き合い続けている古川さんは言います。確かに考えてみればそうで、庭は安全な自宅から危険の潜む自然に向かう途中にある、そのふたつを仲介する存在とも考えられそうです。古川さんは、庭を通過することによって相互の行き来をスムーズにすることができると考えており、だからこそ庭の存在は大切なのだとおっしゃっていました。
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庭師として、庭と向き合い続けている古川さん
日間賀島は庭と似ている
古川さんが取り組んでいるプロジェクトのひとつに「島庭プロジェクト」というものがあります。古川さんは、庭と日間賀島は「何かと何かの中間点」という共通の役割をもっていると考ています。そこで、日間賀島を庭ととらえて島の人が誇らしいと思える景色をつくったり、島にやってくる人たちに島の人たちのそのままを楽しんでもらえないかという想いを形にすべく取り組んでいるとのこと。それだけ庭と日間賀島について様々な想いを持ち活動してる古川さんだからこそ、日間賀観光ホテルの庭の細部にも様々なエピソードが潜んでいます。
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古川さんの取り組むプロジェクトにも要注目です
構想およそ8年前
庭の木々や草花は「庭を造ろう!」と考えてからすぐ集まるわけではありません。特に大地に根ざす木々は、どこからか持ってくるものでも成長具合や環境などの調整も必要ですし、もともとその地に植わっているものも活用しつつ手間と時間がかかります。日間賀島の環境は難しいという古川さん。実際に持ってきたコナラというドングリの木は、元気がなくなってしまいました。「残念ながら枯れてしまうものもあります。ですが、そこから何かが生え始めたりして、何かが始まるきっかけでもあります。それも含めて庭の魅力なんです」と古川さんは言います。
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庭は「人間」と「自然」の双方がつくる
おじいさんの植えたウバメガシ
日間賀観光ホテルの中山幸彦社長の先々代にあたるおじいさんが植えた3本のウバメガシは、いまでも日間賀観光ホテルを新しくなった庭から見守っています。実はこのウバメガシ、今回のリニューアル工事を行うにあたって邪魔になってしまうと言うことで、切るという話もありました。しかし、古川さんはこの木の話を聞いていたので、なんとか残すことで調整をしました。そういったものを活かして新しいものに取り入れることが、古川さんにとって大切な庭造りのひとつ。このウバメガシは、先祖とともに生きる島の暮らしを伝えるもののひとつなのです。
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日間賀島を感じさせるモチーフを随所にみることができます
年中いつでも見所ありの庭を目指して
庭に入るすぐ右を見ると、道路脇に美しい緑が年中広がっています。そして、芝生の上には島の生活や食文化が伝わってくる干物の台があります。ちなみに、この場所で日間賀観光ホテルオリジナルの干物が作られる予定です。そして入り口の方に視線を移せば、季節の色鮮やかな花々が訪れる人を歓迎してくれます。庭の奥には机と椅子がならび、その上にはわずかながら木陰が。「この先、きっと緑のアーチができて、もっと涼しく過ごせるようになると思いますよ」と古川さん。成長して熱い日差しに隠れながら、売店のジュースを飲めることを想像すると、いまから楽しみです。そして夏にはサルスベリの花が美しく、冬には美しい椿が彩りを添えてくれるとのことで、それぞれの季節で装いを変えて、私たちを出迎えてくれることでしょう。
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干物が楽しめる日が楽しみですね
海だけじゃない島の魅力を発見
日間賀島と言えばもちろん海が魅力的です。ですが、代々伝わる人々の生活や緑もまた島の魅力の一つ。日間賀観光ホテルの庭をのぞいてみて、そして少し休憩してみて、日間賀島の魅力をさらに広く見つけてみるのはいかがでしょうか。
次回の記事もお楽しみに!