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2019.08.22
知多半島案内 Vol.46『乾杯!知多半島の麦酒(ビール)』
知多半島案内 Vol.46『乾杯!知多半島の麦酒(ビール)』
みなさんこんにちは!知多半島の情報誌『EDIT知多半島』のライター田村です。今回も知多半島へお越しの際にぜひ知っていて欲しい情報をお伝えいたします。
暑い日には特に人気の冷えたビール。知多半島の食の魅力のひとつに、ビールがあります。歴史的なビールから、今流行のクラフトビールまで、わざわざ飲みに出かけたくなる知多半島のビール情報をお届けします。
知多半島の歴史を語る「半田赤レンガ建物」
半田の観光スポットとしても登場する「半田赤レンガ建物」。半田市民なら昔からなじみのある建物なのも当然で、明治時代から残る歴史ある建物です。建築物としてみるだけでも様々な歴史を学ぶことができますが、知多半島の食文化や起業精神をもつ人などの歴史を語る際にも重要な場所として度々登場します。今回は大人が夏に飲む定番「ビール」という切り口で見ていきたいと思います。
全国ブランドになった半田のビール
明治22年、半田の中埜酢店4代目中埜又左衛門(Mizkanのページへ)と敷島製パン創業者盛田善平らにより、「丸三ビール」と名づけられた瓶詰めビールが3,000本余り半田から初出荷されることとなりました。常滑出身の盛田善平と半田の中埜又左衛門が協力し、念願のビール出荷までをなしえたという、まさに知多半島の人々がつくりあげたビールというわけです。それから明治28年に京都で開かれた第4回勧業博覧会にアサヒビールと対抗してビアホールを出して宣伝したところ、注文が殺到するほど評判となりました。ついには明治29年9月6日創業総会がひらかれ、東京のエビス、横浜のキリン、そして大阪のアサヒに対抗して「丸三麦酒株式会社」が設立されました。新たな日本を代表するビール会社が誕生したのです。その後、ますますビール造りに力を入れ、明治31年にドイツから機械技師A.F.フォーゲルと醸造技師ジョセフ・ボンゴルを招き、10月31日には半田町榎下に新工場を竣工しました。それこそが現在も残る「半田赤レンガ建物」です。この年から本格的ドイツビールの醸造をはじめ、「加武登麦酒(カブトビール)」がうまれます。加武登麦酒は明治33年 (1900) パリ万博で金賞に輝くことで知名度が上がり、半田でつくられるビールが全国で飛ぶように売れるようになりました。
半田のビールの現在
そんな繁栄を期したビール造りでしたが、昭和戦時下になり国家総動員法にもとづく企業整備令が適用され、飛行機メーカーであった中島飛行機製作所の倉庫として利用されることとなりました。こうして40年余り続いたビール造りの歴史に幕を下ろしたのです。それから建物とそれらの歴史は地元の人を初めとする多くの人々によって大切にされ、ついに2004年に「カブトビール」を復刻させようとする活動が開始されます。そして翌年、ついに復刻された「カブトビール」が3,000本という限定ではあるものの、お披露目されました。そして2019年の現在では、半田市内の飲食店などでも提供されています。半田赤レンガ建物内のショップではお土産として購入することも可能です。どこか昔懐かしいビールを楽しんでみてはいかがでしょうか。
知多市のクラフトビール「OKD」
時代は変わり、現在の世の中には多種多様な趣味趣向に合わせた様々な商品が氾濫しています。ビールの世界も同じで、少し前からクラフトビールといったこだわりを感じるビールが日本全国から登場しています。そんな時代に知多半島の知多市岡田でうまれたのが「OKD」です。「OKD」と聞いてピントきた方もいらっしゃると思いますが、もちろん岡田(OKADA)を連想させる名前となっています。この岡田という地域も、かつては繊維業で栄えた場所ですが、それはまた別の機会にご紹介したいと思います。
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OKDのいちじくを使ったクラフトビール
地元の果実を使う「OKD」
「OKD」は地元のいちじくや梅といった果実を使い、香り豊かなビールをつくっています。そもそも知多市岡田という場所に醸造所を設けたのも、その場所の魅力を伝えられる可能性を感じたからとのこと。「OKD KOMINKA BREWING」のFacebookにはオーナーの様々な活動の様子が共有され、商品の魅力と共に「現場を訪ねてみたい!」と感じさせてくれます。個性あふれる知多半島のビールにも注目です。
次回の記事もお楽しみに!